デザイン・スタジオ・
ロンドン
竹井 邦浩

デザインで大切なモノは、
スノーボードから学んだ。

竹井 邦浩

プロフィール

1993年入社。ポータブルキーボード、シンセサイザー、デジタルミキサー「M7CL」等などのデザインを手掛ける他、 ゴルフクラブの「inpres」も第一世代から担当。2008年より渡英し、現在までデザイン・スタジオ・ロンドンに席を置く。RCA(英国王立美術大学院)の学生たちと産学協同プロジェクトを手掛け、現在も継続的に発信している。

デザイナーになると決めたのは、YMOとKATANAとの出会い

小さい頃から絵が得意だったので、漠然と「いずれ絵を描いたりデザインしたりするんだろうな」とは思っていました。そんなモヤモヤした気持ちがハッキリしたきっかけは、バイクのKATANAとYMOでした。KATANAを見た時は衝撃的で頭がスパークした気がしましたね。YMOはステージでシンセが林立していて、まるで工場みたいな感じがカッコよかった。それまで音楽は嫌いじゃなかったけど、YMOで音楽が大好きになりました。でも音楽は演奏できないから、自分がやるなら楽器のデザインだな、と思って。それでプロダクトデザインをやろうと決めました。高校1年の頃だったと思います。そこからは一直線で、芸術大学のデザイン科へ進学しインダストリアルデザインを専攻しました。
大学ではサッカー部と写真部に入りました。写真部ではグループ展も2回ほど開いて。当時は撮影旅行に行っては白黒の写真を撮っていましたね。卒業制作は棚。飛行機も好きなので、棚全体がワイヤーでフローティングされていて複葉機のように見える棚を作りました。卒業後はメーカーに入るつもりだったから、あえてマスプロダクション的でないものにしたんです。ヤマハに入ったのは、楽器も、スキーも、そしてバイクも好きだったから。自分が好きなモノの最大公約数がヤマハでした。

アンドリュー・ワイエスの水彩画のような物作りがしたい

学生時代、絶大な影響を受けたのはアメリカの画家のアンドリュー・ワイエス(Andrew Wyeth)です。デッサンの時も横に置いて、画集がボロボロになるまで見ていました。特に彼の水彩画が好きなんですが、彼は「描かずに描く」ことを体現している人だと思うんです。たとえば白い画用紙に綺麗に地平線を描くだけで、残りの「白」が雪原に見えてくるんです。雪の埃っぽい匂いまで蘇ってくる。まるで魔法のようです。あんな絵を描きたいと今でも思っているし、ワイエスのような物作りをしたいと思っています。
たとえばヤマハのデザインのフィロソフィーに「でしゃばらないデザイン(UNOBTRUSIVE)」という考え方がありますが、例えば片隅の角を少し落とすだけで全部が角アールに見えてくる。僕はそれがヤマハらしいクールなデザインだし、まさに「ワイエスのような物作り」だと思っています。