コミュニケーションデザイン
グループ マネージャー
佐藤 大造
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クオリティオブライフを上げる

私の日常は極めて普通です。共働きなので、朝は掃除や洗濯など家事をして、下の子を保育園に連れて行くのですが、保育園まで歩く田舎道は娘との大切なふれあいの時間です。また毎日2誌の新聞に目を通すことを習慣にしています。新聞は1000万人が知る常識ですから「知らないわけにはいかない」というプレッシャーを感じながら読んでいます。興味がわいた記事は片っ端からスクラップしておき、溜まったスクラップを半年に一度整理するのですが、スクラップの数でその時の自分の興味や関心がどこにあるのか、客観的に知ることができます。休日は料理をしたり、平日に掃除できなかった部分を一気に片づけますが、特に子供の靴を洗うのが好きで、白くなった靴を日に干す瞬間がとても気持ちがいいです。それからスポーツデザインを手がけた頃から、細々とですがランニングと筋トレを続けていて、時々マラソンにも出たりしています。家事にしても新聞にしても、体を動かすことも、私にとっては趣味というよりは日常の一部。無理に「何か特別でハレなこと」をするのではなく、日々の暮らしの中で自分を律し、日常の所作をブラッシュアップして「普通のことを、ていねいにする」ことを心がけています。

自分で使うものを自分で作る愉しみ

日常の中で趣味と言えることは、やはり昔から好きだった「何かを作る」ことです。上の息子がまだ小さかった頃は、自分の少年時代を反復するように子どもと一緒にレゴやプラモデル、そして「楽しい工作シリーズ」のギヤやモーターを使った工作にハマり、一時期は競技会まで出たりしました。しかし子供が中学生になってそんな時期も終わってしまい、次を探していたある時、ヒントが目の前にあることに気づきました。20年以上使い続けていた革のシステム手帳です。味わい深い色になっていて愛着があったので修理しながら使っていました。「こういうものを自分で作れば楽しいのではないか」と思ったのです。それから少しずつ革細工の道具を揃え、自分が使う革製品を自分で作る愉しみを覚えました。これは仕事でしている工業デザインとは対極にあるローテクでプライベートなものですが、縫製はできるだけ最少にし、シンプルでいて豊かなシルエットを目指して作っています。結局、ヤマハデザインの流儀から離れられないかもしれませんね(笑)。「合理的な視点」と「情緒的な視点」は、私にとってはデザインだけの話ではなく、自分の生き方に対する洞察でもあります。日常の「普通」をシンプルにブラッシュアップしていくこと。その一方で喜びや愉しみを発見し、さらに深めていくことのバランスがとても大切です。そこに人生の面白みがあるという気がしています。