若手デザイナーが語る、それぞれの「ヤマハ観」

イメージの違いに表れる、ヤマハの多面性

川田所長:

今回はここ5年間でヤマハに入社してくれた若手デザイナー6人に集まってもらいました。出身大学の系統も音楽経験の有り無しも様々だけど、みんなはヤマハっていう会社にどんなイメージを持っていたのかな?

伊藤:

私は美大に入る前にサイレントバイオリンの存在を知って、ヤマハの洗練されたデザインに憧れるようになりました。じつは音楽経験がないと入社するのは難しいと思っていたんですけど、インターンシップでデザイナーの方から「音楽経験者は半分くらい」と聞いて安心しましたね。

浦崎:

もともとヤマハといえば小学校で使うリコーダーなど「教育」のイメージでした。再び出会ったのは大学生のとき。たまたま大学で川田さんの特別授業があり、ヤマハが楽器だけでなく他にも幅広く製品を開発していることを伺って驚きました。

松井:

私はヤマハに勤める大学の先輩からボーカロイドキーボードの完成に至るまでのお話を、スケッチやモックを見ながら聞いたのがめちゃくちゃ楽しくて。いろいろな業界の説明会に参加しましたが、楽器の会社ならではのデザインの面白さを感じました。

福山:

僕はデザインを学び始めたころ、形やディテールに込めた意図をどんな言葉で表現すればいいか分からなかったので、ヤマハのウェブサイトを参考にしていました。なので、僕にとってはデザインの教科書ですかね。

坂本:

私は大学で軽音サークルに所属していたので、もともと親近感はあったんです。自分がデザイナーを志すようになってウェブサイトを見るようになったんですが、登場するデザイナーさんも個性が強くて「なんかこの会社、変な人がたくさんいる」とびっくりして。なかでもヤマハ発動機さんとコラボしたプロジェクトは衝撃でしたね。ものづくりに取り組む姿勢がいい意味でクレイジーというか、発想が振り切ってるって。

小林:

私はデザインの勉強を始めた頃から、デザイン研究所に憧れていました。ミラノサローネの展示ヤマハ銀座店での展示をウェブサイトで見て、どれも本当に素敵で。インターンの案内を知って「私でもヤマハで働くチャンスがあるかも!」とすぐに応募しました。

型破りなインターンシップから見える、デザイン研究所のすがた

小林:

それなのに、いざインターンに参加してみたら落ち込むことの連続で。他の人は楽器以外を提案している方が多かったけど、私は敢えて楽器を選んでみたんです。そうしたらデザイナーの方から専門的な質問が次々と飛んできて、それに全然答えられなくて。「私もうダメだ・・・・・・」と落胆しながら帰ったことを覚えています。

川田所長:

うちのデザイナーはみんな楽器愛が半端ないからね。別に質問攻めしに来てるわけじゃないんだけど、みんな熱心なんだよ。所属メンバーが全員参加するなんて、ヤマハのインターンシップって珍しいよね。

松井:

じつを言うと、私も最初は気おくれしていました。でも「今どんな問題を抱えてるの?」と話しかけてくれるので、学生を怖がらせる意図じゃないというのは徐々に分かってきたかな。むしろそれより驚いたのが、デザイナーによって「自分はこう思う」「私はこう思う」と全く違うコメントを投げかけてくること。でも、そういう多様性のある考え方がちゃんと共存している会社だということが、実感できました。

坂本:

社内のデザイナーが全員インターンシップに出てきたのも驚きだったけど、さらに一次課題も二次課題も「えっ!?」と思わせるテーマでしたよね(笑)。「ヤマハはこの時点から参加者を楽しませてくれるのか!」とワクワクしました。インターンをしたというよりも様々な考えに出会って、感性が豊かになる良い経験をした気がします。

夢中になれる興味の先に新しいアイデアがある

川田所長:

入社後は日々、楽器や音響機器、プレーヤーやオーディエンスについて深く考え、夢中になれる愉しさやそこから生まれる笑顔を思い浮かべながらデザインしている訳だけれど、だからこそ1人1人のデザイナーもプライベートの趣味や興味関心があることは、個人の研究テーマとして掘り下げてもらい、発表して刺激し合ってもらってるんだよね。

福山:

僕はキャンプ道具とかアウトドア系のものづくりを研究していて、そのノウハウを楽器や音響機器のデザインに活用できないか考えています。というのも、入社を機に浜松に来てから僕はすっかりキャンプにハマってしまって。今では年間に15泊くらいしていますね。

浦崎:

確かに浜松はいい街ですよね。生まれ育った沖縄を離れるのはちょっと複雑な気持ちだったけど、インターンで来たらのんびりしていて、気に入って帰りました。

坂本:

私は楽器とはなんの関係もないんですけど、アニメ・マンガ・ゲーム関係全般が大好きで、それがここ数年は「ゆるキャン△」やディズニーキャラクター、初音ミクやVtuberとのコラボ製品をデザインする機会に恵まれていて、すごく仕事が充実しています。

川田所長:

趣味の分野が思わぬところで仕事につながるね。うちではちょっと「これが好き」とか「これはやったことがある」って話すと「それじゃお願い!」と仕事を任される傾向がある。それにデザイン研究所は「仕事の領域を自ら広げていけそうなときには、まずやってみよう」というムードだし。好奇心の強い人はどんどん仕事が広がってしまうので要注意かな。

福山:

そうですね。僕は父親に付き添ってゴルフの打ちっぱなしに行った経験があって、入社して間もない頃に、自己紹介のコメント欄にそれを書いたらその日のうちに連絡が来て、あっという間にゴルフ製品のデザイン担当に任命されちゃいました(笑)。同時期にいろんなアイテムを担当していて、最近ではちょっとイレギュラーな業務だけど、横浜シンフォステージのロゴマークを松井さんとデザインしましたね。大きなデザイン組織ではプロダクト・グラフィックなど担当業務が細分化されることが多いけど、人数が少ない分、1人があらゆるジャンルのデザインに関わることができるので嬉しいです。

※みなとみらい21中央地区53街区開発事業の名称

松井:

確かに。私は入社1年目のときに参加したプロジェクトでアイデアが採用されて、デザインプロトタイプを作るところまでいきました。まさか音の出るワーキングプロトまで作るとは思わずに絵を描いていたので、決まってからはもう大変な毎日で。手作りの試作品に電気部品を取り付けたりと試行錯誤の連続でした。でも完成してテレビ番組や新聞でも取り上げていただけて、すごく達成感のあった思い出深い仕事です。

小林:

私も1年目からミラノデザインウィークのプロジェクトに参加できて驚きました。まだ何ひとつデザイナーとして完結した仕事を経験していないのに、そんな大きなプロジェクトに関わることになってしまって、最初は戸惑うばかりで。でも、外観デザインだけではなくコンセプトの立て方など、ありとあらゆることを周りの先輩に教わって、助けてもらって、実物を現地で見たときは本当に感動しましたね。

川田所長:

最後に、みんなはデザイナーとして今後ヤマハでどんなことに挑戦していきたいかな?

伊藤:

私はもともと電子楽器のデザインをやりたかったので、早く一人前になって自分がメインで担当できるようになりたいです。デザインの先行開発にもすごく興味があるので、今後挑戦してみたいですね。

浦崎:

今、入社2年目にしてやっと「仕事ってこんな感じなんだ」ということが徐々に分かってきたところです。今後もっといろんな経験を積んで、将来的には自分のように楽器経験者じゃない人でも手に取りたくなるような製品を手がけてみたいですね。自分ならではのものづくりの視点が役に立つと思うので。

松井:

先行開発業務や、ヤマハで初めての製品のコンセプトから考えるような機会に多く恵まれたこともあって、私はデザインにおけるストーリー構築や、実験的な試みに関心があります。日々の業務で基本的なスキルや知識を蓄えながら、将来的には先行研究のシナリオメイキングからアウトプットまで貢献できるデザイナーになりたいです。

福山:

プロダクトデザイナーの道も追求しながら、大学で勉強していたようなUXデザインやサービスデザインにも挑戦して、ヤマハのデザインの幅をもっと広げていくような活動に携わっていきたいです。入社してから一番よく思うのが、「自分は自分のままでいていいんだ」ということ。学生時代は、「デザイナーとしての正解」というものがあると考えていたんです。今、すごく自由な環境に身を置いてみたら、結局デザイナーは自分らしくいることが正解なんだなということに気づきました。

坂本:

私はコラボ製品にヤマハらしいクオリティの高さを出すことに大きなやり甲斐を感じています。今はメタバースにも興味があるので、ヤマハらしいコラボ体験を提供できないか、考えながらワクワクしています。

小林:

私は入社後2年半をマーケティング統括部に配属されていました。せっかくみんなと少し違ったキャリアを持ってデザイン研究所に移ってきたので、自分にしかできないデザインや活動に挑戦したいです。そして将来的には海外拠点に赴任したいですね。

川田所長:

ありがとう。みんなの入社前のヤマハ観、いま考えていること、そして将来への展望が聞けて嬉しかった。デザイナー1人1人の創造性が集まってヤマハのデザインになるのだと思うし、みんなの個性が輝くことでヤマハデザインとヤマハブランドが光輝くのだと心から思います。
OK! Let’s enjoy designing!

小林 夏美

小林 夏美

2018年入社。マーケティング統括部に配属後、2020年よりデザイン研究所コミュニケーションデザイングループに異動、グラフィックデザインや空間デザインを中心に担当する。千葉大学大学院デザイン科学コース修了。東京都出身。

坂本 志乃

坂本 志乃

2018年入社。デザイン研究所プロダクトデザイングループ所属。アニメやゲームキャラクターとのコラボレーション製品のデザインを担当数多く担当しているほか、連携するスマホアプリのUIデザイン等も手がけている。長岡造形大学造形学部プロダクトデザイン学科卒業。佐賀県出身。

福山 雅人

福山 雅人

2019年入社。デザイン研究所プロダクトデザイングループ所属。入社以来ゴルフ製品を中心にデザイン業務を担当するほか、横浜シンフォステージのロゴマークのデザインも手がけている。千葉大学大学院融合理工学府創成工学専攻デザインコース修了。佐賀県出身。

松井 日向子

松井 日向子

2020年入社。デザイン研究所プロダクトデザイングループ所属。入社1年目に「Stepping Out Of The Slate "RhythmBot"」のデザインを担当した。現在はオーディオ製品のデザイン業務を担当。多摩美術大学美術学部生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻卒業。神奈川県出身。

浦崎 翔太

浦崎 翔太

2021年入社。デザイン研究所プロダクトデザイングループに所属し、現在はドラムのデザイン業務を担当。沖縄県立芸術大学大学院デザイン専修修了。沖縄県出身。

伊藤 百香

伊藤 百香

2022年入社。デザイン研究所プロダクトデザイングループに所属し、現在は電子楽器や教育楽器を中心にデザイン業務を担当。多摩美術大学美術学部生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻卒業。千葉県出身。