スイッチコントロール機能(L2MS)

概要

L2MS(Layer2 Management Service)とは、ヤマハネットワーク機器をレイヤー2レベルで管理する機能です。L2MSでは管理を行う機器をコントローラーと呼び、コントローラーから管理される機器をスレーブと呼びます。従来は「スイッチ制御機能」という名称でしたが、対応機種や機能を拡充していく中で、より相応しい名称に変更しました。以下にPC、コントローラーおよびスレーブの接続方法を示します。

PCからコントローラーにはシリアル接続やTELNET、SSHでログインします。コントローラーにはスレーブの設定や状態取得を行うためのコマンドやWeb GUIが用意されており、これらを利用してスレーブを操作します。コントローラーとスレーブはイーサネットケーブルで接続します。通信には独自のプロトコル(L2MS)を使用します。本機能は次のような特徴を持っています。

初期設定不要

TELNETやSSHでは最初にIPアドレスを設定する必要がありますが、本機能では独自のプロトコル(L2MS)を使用して通信を行うためスレーブへの初期設定は不要です。イーサネットケーブルを接続すると、コントローラーは自動的に配下のスレーブを認識します。

複数のスレーブを同時制御

コントローラーは、同時に複数のスレーブを認識し制御することができます。

本文書では、ヤマハルーターでのL2MSの使用方法について説明します。

ヤマハルーターでは、スレーブの設定や状態取得を行うためのWeb GUIとして「スイッチ制御GUI」または「LANマップ」を利用することができます。「スイッチ制御GUI」の利用方法はSWX2200 GUIマニュアルを参照してください。「LANマップ」では、「スイッチ制御GUI」のスレーブ管理機能に加えて、端末の管理も行うことができます。

対応機種とファームウェアリビジョン

ヤマハルーターでは以下の機種およびファームウェアで、L2MSのコントローラーとして動作させることができます。ファームウェアリビジョンによって以下の通り、一部機能に差異があります。

  • 最大制御台数 ... 1つのLANインタフェースにつき制御できるスレーブの台数。
  • ポート分離機能との併用 ... ポート分離機能が設定されているLANインタフェースでL2MSを使用できるか否か。
機種 ファームウェア 最大制御台数 ポート分離機能との併用
RTX820 Rev.11.03.16以降 32
RTX1200 Rev.10.01.40以降 8 ×
Rev.10.01.55以降 32

スレーブにはヤマハスイッチがあります。以下の機種およびファームウェアで、L2MSのスレーブとして動作させることができます。

機種 ファームウェア
SWX2200-24G Rev.1.00.04以降
SWX2200-8G

コントローラー(ヤマハルーター)とスレーブ(スイッチ)の対応表は以下をご覧ください。

コントローラー スレーブ
機種 ファームウェア SWX2200-24G
SWX2200-8G
RTX820 Rev.11.03.16以降
RTX1200 Rev.10.01.40以降

用語の定義

用語 説明
コントローラー L2MSのスレーブとして動作している、ヤマハネットワーク機器の管理を行う機器
ネットワーク内のヤマハスイッチを管理する
スレーブ L2MSのコントローラーによって管理されるヤマハスイッチコントローラーから設定の確認や変更を行うことができる

詳細

L2MSの使用

L2MSを使用するか否かをLANインタフェースごとに設定します。コントローラーは、switch control useコマンドがonに設定されたLANインタフェース配下に接続されているスレーブを認識し制御します。

コントローラーが認識しているスレーブはshow status switch controlコマンドで確認することができます。

L2MSのプロトコル

L2MSの制御には以下に示す独自プロトコルのL2フレームを使用します。

項目
宛先MAC 01:a0:de:00:e8:12 ~ 01:a0:de:00:e8:15
Ethertype 0xe812

コントローラー と スレーブとの間にファイアーウォールを設置する場合は、ファイアーウォールにこのL2フレームを通過させる設定を行う必要があります。

スレーブの監視

コントローラーは定期的に探索パケットを送信することで配下のスレーブを監視します。また、スレーブは探索パケットに対して応答パケットを送信することでコントローラーに自身の存在を通知します。

探索パケットの送信時間間隔は、switch control watch intervalコマンドのTIMEパラメータで設定します。設定値を大きくすると、送信頻度は減りますが、スレーブを接続してからコントローラーが認識するまでの時間は長くなります。設定値を小さくした場合はその逆となり、送信頻度は増えますが、スレーブを接続してからコントローラーが認識するまでの時間は短くなります。

コントローラーが探索パケットを一定回数送信してもスレーブから応答パケットを受信しない場合、当該のスレーブはダウンしたと判断します。回数はswitch control watch intervalコマンドのCOUNTパラメータで設定します。また、スレーブを接続しているイーサネットケーブルを抜いた場合は当コマンドの設定よりも早いタイミングでスレーブがダウンしたと判断することがあります。

使用するネットワーク環境に合わせてswitch control watch intervalコマンドの各パラメータに適切な値を設定してください。

スレーブの占有

1つのスレーブを複数のコントローラーが同時に制御することはできません。

スレーブが起動直後に探索パケットを受信すると、当該のスレーブは探索パケットを送信したコントローラーに占有された状態となります。この状態は、以下のいずれかの条件により解除されます。

  • 探索パケットを30秒間受信しなかった場合
  • スレーブが接続されているLANインタフェースのswitch control useがoffに設定された場合
  • コントローラーを再起動した場合

スレーブの操作

スイッチの操作

以下のコマンドを使用することで、コントローラーからスイッチを操作する (設定を変更したり、動作状態を取得したりすること) ことができます。詳細についてはこちらを参照してください。

ファームウェアの更新

コマンドを実行することで、コントローラーからスレーブのファームウェアを更新することができます。更新処理が正常に終了すると、スレーブは自動的に再起動します。

スイッチの場合、switch control firmware upload goコマンドを実行してください。事前にファームウェアのファイルをフラッシュROMのRTFS領域や外部メモリに保存しておく必要があります。

スレーブの指定方法

コマンドでスレーブを指定する場合、MACアドレスによる指定と経路による指定の2つの方法があります。

経路による指定方法では、コントローラーを基点として途中にある各スレーブのポート番号を順に記述します。

上図のような構成でスイッチCを指定する場合の表記は "lan1:2-5-13" となります。

  • 最初にコントローラーのLANインタフェースを指定します。
  • LANインタフェースがスイッチングハブである場合、ポート番号を指定します。LANインタフェース名とポート番号の間はコロン ":" で区切ります。
  • LANインタフェースがスイッチングハブでない場合、ポート番号の指定は不要です。
  • コントローラーとスイッチCの間にある各スイッチのポート番号をコントローラーに近い方から順に指定します。各ポート番号はハイフン "-" で区切ります。

他社スイッチが混在する構成での経路指定

コントローラーの配下に他社スイッチが接続されていても、コントローラーはそれを認識することができません。この場合、他社スイッチの配下にいるスレーブを経路で指定できる場合とできない場合があります。

指定できる場合

以下のように、他社スイッチの配下にスレーブが1つだけ接続されている場合は経路で指定することができます。ヤマハスイッチAの経路はlan1:2となります。

指定できない場合

以下のように、他社スイッチの配下にスレーブが複数接続されている場合は経路で指定することができません。ヤマハスイッチA、B両方とも経路はlan1:2になるため、コマンドを実行してもエラーになります。この場合はMACアドレスで指定してください。

制限事項

  • LAN分割機能が設定されているLANインタフェースではL2MSを使用することはできません。
  • スレーブでVLANを使用する場合、L2MSの通信が行われるポートは必ずアクセスポートもしくはハイブリッドポートに設定してください。トランクポートではL2MSの通信を行うことができません。なお、スレーブのVLAN機能に関する詳細はコマンドリファレンスを参照してください。
  • コントローラーとスレーブの間に他社製スイッチを挟み込むなど、L2MSの通信経路上に他社製スイッチが存在すると、スレーブを正しく制御できない場合があります。他社製スイッチを含めてローカルエリアネットワークを構成する際は、事前に動作確認を行ってください。
  • スレーブを直列に接続して使用する場合、接続可能なスレーブの最大台数はコントローラーから数えて8台までです。下図左側のようにスレーブをコントローラーから数えて9台以上直列に接続することはできません。また、下図右側のように、直列に接続するスレーブの台数がコントローラーから数えて8台までであれば、最大制御台数で定められた台数を制御できます。

    スレーブをコントローラーから数えて9台以上直列に接続した場合、L2MSの通信が遅延してスレーブの認識や制御が正しく行えず、以下のような不具合が起こることがあります。

    • 同期処理が正しく動作しないことがあります。
    • コントローラーのGUIからホストを検索したり、複数のスレーブの設定を一括で変更したりした場合、正しく実行できないことがあります。

    設定の同期やコントローラーのGUIからスレーブを操作する方法について、詳しくは関連情報を参照してください。

コマンド

L2MSを使用するか否かの設定

[書式]
switch control use INTERFACE USE
no switch control use INTERFACE
[設定値]
  • INTERFACE ... LANインタフェース名
  • USE
    • on ... 使用する
    • off ... 使用しない
[説明]

L2MSを使用するか否かをLANインタフェースごとに設定する。本コマンドがonに設定されたインタフェースでは、スレーブを制御するための通信が行われる。スレーブを配下に接続しないインタフェースにおいては本コマンドをoffに設定することで、不要なパケットの送出を抑えることができる。

[ノート]

INTERFACEには物理的なLANインタフェース (lanN) のみを指定することができる。LAN分割機能またはポート分離機能が有効になっているインタフェースでは本コマンドを設定することができない。

[初期値]

USE ... off

スレーブの監視時間間隔の設定

[書式]
switch control watch interval TIME [COUNT]
no switch control watch interval
[設定値]
  • TIME ... 秒数 (2 .. 10)
  • COUNT ... 回数 (2 .. 10)
[説明]

スレーブを探索するパケットの送信時間間隔、およびスレーブからの応答パケットを受信せずダウンしたと判断するまでの探索パケット送信回数を設定する。

TIMEを大きな値に設定した場合、探索パケットの送信頻度は減るが、スレーブを接続してからコントローラーが認識するまでの時間が長くなる。TIMEを小さな値に設定した場合はその逆となり、探索パケットの送信頻度は増えるが、スレーブを接続してからコントローラーが認識するまでの時間が短くなる。

探索パケットをCOUNTで設定した回数送信してもスレーブから応答パケットを受信しない場合、当該のスレーブはダウンしたと判断する。

[ノート]

スレーブを接続しているイーサネットケーブルを抜いた場合は、当コマンドの設定よりも早いタイミングでスレーブがダウンしたと判断することがある。

[初期値]
  • TIME ... 3
  • COUNT ... 3

コントローラーが制御しているスレーブ一覧の表示

[書式]
show status switch control [INTERFACE]
[設定値]
  • INTERFACE ... LANインタフェース名
[説明]

コントローラーが制御しているスレーブの一覧を表示する。インタフェースを指定しない場合は、すべてのインタフェースについて情報を表示する。

  • MACアドレス
  • 機種名
  • 機器名
  • コントローラーからの経路
  • アップリンクポート
  • スレーブを操作するときに指定する経路
  • 現在使用している設定内容
[表示例]
>  show status switch control
LAN1
[00:a0:de:01:02:03]
機種名      : SWX2200-24G
機器名      : SWX2200-24G_0123456
経路        : lan1:1
アップリンク: 1
設定用経路  : lan1:1
設定        : switch select lan1:1

---
LAN2
スイッチ制御機能が有効になっていません
---
LAN3
スイッチ制御機能が有効になっていません
>  show status switch control
LAN1
[00:a0:de:01:02:03]
Model name      : SWX2200-24G
System name     : SWX2200-24G_0123456
Route           : lan1:1
Uplink          : 1
Route for Config: lan1:1
Config          : switch select lan1:1

---
LAN2
Switch control function is not available.
---
LAN3
Switch control function is not available.

スイッチの選択

[書式]
switch select SWITCH
no switch select
[設定値]
  • SWITCH
    • スイッチ
      • MACアドレス
      • 経路
    • none ... スイッチを選択しない
[説明]

対象とするスイッチを選択する。以降プロンプトにはconsole promptで設定した文字列と選択したスイッチが続けて表示される。

switch select noneまたはno switch selectを実行すると、プロンプトにスイッチを表示しなくなる。

スイッチが持つ機能の設定

[書式]
switch control function set FUNCTION [INDEX...] VALUE
no switch control function set FUNCTION [INDEX...]
[設定値]
  • FUNCTION ... 機能の名前
  • INDEX ... インデックス
  • VALUE ... 機能に設定する値
[説明]

スイッチが持つ機能について設定を行う。設定したい機能の名前とその機能に対する設定値をパラメータとして指定する。複数の設定対象が存在する機能ではインデックスを指定する。

コマンド実行中にCtrl-C押下で中断することができる。ただし、実行後に同期処理が開始された場合は中断できない。

[ノート]

本コマンドを実行する前にswitch selectでスイッチを指定しておく必要がある。

スイッチの機能についてはコマンドリファレンスを参照のこと。

スイッチが持つ機能の設定内容や動作状態の取得

[書式]
switch control function get FUNCTION [INDEX...] [SWITCH]
[設定値]
  • FUNCTION ... 機能の名前
  • INDEX ... インデックス
  • SWITCH ... スイッチ
    • MACアドレス
    • 経路
[説明]

スイッチが持つ機能の設定内容や動作状態を取得する。取得したい機能の名前をパラメータとして指定する。複数の取得対象が存在する機能ではインデックスを指定する。

コマンド実行中にCtrl-C押下で中断することができる。

[ノート]

SWITCHを指定しない場合は、本コマンドを実行する前にswitch selectでスイッチを指定しておく必要がある。

スイッチの機能についてはコマンドリファレンスを参照のこと。

スイッチに対して特定の動作を実行

[書式]
switch control function execute FUNCTION [INDEX...] [SWITCH]
[設定値]
  • FUNCTION ... 機能の名前
  • INDEX ... インデックス
  • SWITCH ... スイッチ
    • MACアドレス
    • 経路
[説明]

スイッチに対して特定の動作を実行させる。実行したい動作に対応する機能の名前をパラメータとして指定する。複数の実行対象が存在する機能ではインデックスを指定する。

コマンド実行中にCtrl-C押下で中断することができる。

[ノート]

SWITCHを指定しない場合は、本コマンドを実行する前にswitch selectでスイッチを指定しておく必要がある。

スイッチの機能についてはコマンドリファレンスを参照のこと。

スイッチの設定の削除

[書式]
switch control function default [both] [SWITCH]
[設定値]
  • both ... 対象のスイッチに対して適用可能な設定をすべて削除する
  • SWITCH ... スイッチ
    • MACアドレス
    • 経路
[説明]

選択したスイッチに対するコントローラー上の設定を削除する。同時に、コントローラーがスイッチを制御している場合は同期処理を行う。

bothオプションを指定しない場合、スイッチに対して適用可能な他の設定が存在すれば、その設定でスイッチを同期する。例えば、MACアドレス指定と経路指定の設定が存在する状態で、MACアドレス指定の設定を選択して本コマンドを実行した場合、MACアドレス指定の設定が削除された後、スイッチは経路指定の設定で同期される。

bothオプションを指定する場合、スイッチに対して適用可能な他の設定が存在すれば、その設定も同時に削除する。上記の例では、MACアドレス指定と経路指定の両方の設定が削除される。

すなわち、スイッチを確実に初期化したい場合はbothオプションを指定する。

[ノート]

SWITCHを指定しない場合は、本コマンドを実行する前にswitch selectでスイッチを指定しておく必要がある。

スイッチのファームウェアの更新

[書式]
switch control firmware upload go FILE [SWITCH]
[設定値]
  • FILE ... ファームウェアのファイルへの相対パスまたは絶対パス
  • SWITCH ... スイッチ
    • MACアドレス
    • 経路
[説明]

スイッチのファームウェアを更新する。ファームウェアのファイルはフラッシュROMや外部メモリへ事前に保存しておき、FILEにパスを指定する。ファームウェアの書き換えに成功すると、スイッチは自動的に再起動する。

コマンド実行中にCtrl-C押下で中断することができる。

FILEに相対パスを指定した場合、環境変数PWDを基点としたパスと解釈される。PWDはsetコマンドで変更可能であり、初期値は "/" である。

[ノート]

SWITCHを指定しない場合は、本コマンドを実行する前にswitch selectでスイッチを指定しておく必要がある。

SYSLOGメッセージ一覧

本機能において出力されるSYSLOGメッセージを以下に示します。
出力されるメッセージには "[SWCTL] route(addr):" というプレフィックスが付加されます。routeはコントローラーからスレーブへの経路、addrはスレーブのMACアドレスです。

スイッチ用のSYSLOGメッセージ

レベル 出力メッセージ 意味
INFO スレーブの認識 find switch スレーブを認識した。
detect down スレーブがダウンした。
リンクのアップ/ダウン PORTn link up (speed) スレーブのポートnがリンクアップした。通信速度はspeed
PORTn link down スレーブのポートnがリンクダウンした。
同期処理 sync start スイッチの同期処理を開始した。
sync done スイッチの同期処理が完了した。
sync failed スイッチの同期処理に失敗した。
警告 fan lock スレーブのファンが停止している。
PORTn loop detect スイッチのポートnでループが発生していた。(注)
DEBUG 同期処理 can't get param of sync スイッチの同期処理を行うために必要な情報を取得できない。
  • (注) このSYSLOGが出力されるのはループの発生をスイッチが検出し、ポートを自動的にリンクダウンした状態のときです。ループが発生している最中ではありません。したがって、loopdetect-linkdownがlinkdownもしくはlinkdown-recoveryに設定されている必要があります。なお、ループ検出機能の詳細についてはコマンドリファレンスを参照してください。

関連情報

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