QoS機能の動作

ここではルーターのQoS機能でどのような制御が可能なのかを説明します。
最初に理解しておきたいのは、QoS機能はどのような条件の下でも常に効果を発揮する機能ではないという事です。

QoS機能は、

网络示意图 ex1

という構成のような、入力側の帯域が大きく、出力側の帯域が小さいという構成でのみ動作します。
このような構成においては、入力パケットの全てを出力できないためルーター内部のキューにパケットが溜まる状態が発生します。

このルーター内部のキューにパケットが溜まっている状態で、どのキューに入っているパケットを優先して出力するかを判断・制御するのがルーターにおけるQoS機能の動作になります。

网络示意图 ex2

という構成では、LANとWANの速度が同じで、入力されたパケットをすべて出力することができます。
この場合、ルーター内部のキューにパケットが溜まる状態が発生しないためQoS機能は有効に動作しません。
この構成でQoS機能の設定を行うと、QoS機能の制御が加わり内部処理の負荷が無駄に高まるため、全体の動作状態を悪化させることもあります。

ただ、LANインターフェイスの速度は個々の条件にあわせて任意に設定することはできません。
LANインターフェイスの速度は対向する機器にあわせ10Mbit/sあるいは100Mbit/sに固定されます。
LANインターフェイスにおいてQoS機能を使用する場合には10Mbit/sあるいは100Mbit/sといった物理的な速度とは別に”使用できる帯域”を設定します。
この機能を”シェーピング機能”と呼びます。

シェーピング機能

LANインターフェイスについて物理速度は10Mbit/sあるいは100Mbit/sのままで、実際に使用する帯域のみを小さくする機能

(例)
物理速度100Mbit/sのLAN2インターフェイスについて使用できる帯域を10Mにする

speed lan2 10M

このコマンドを設定することで、LAN2インターフェイスで使用できる帯域が10Mになりますので、LAN→WANで速度差が発生し、ルーター内部キューにパケットが溜まる状態が起こり、QoS機能が動作するようになります。

シェーピング速度の設定はQoS機能が正常に動作するために必要な設定です。
続いてルーター内部のキューに溜まっているパケットについてどのような順番で送出するかという制御方法について説明します。

制御方法としては下記の3つの方法があります。

優先制御

優先制御方式は、ネットワーク上に流れているパケットについて送出元IPアドレス、宛先IPアドレス、アプリケーション毎のポート番号等によりサービスを区別し、サービス毎に絶対的な優先度を割り当てる方法です。

優先度の高いサービスのパケットが常に優先して出力され、優先度の低いサービスのパケットは、より優先度の高いサービスのパケットがキューからなくなるまで出力するこができません。

(例)

  • 優先度をTELNET > WWW > FTP と割り当てる。
  • 帯域を占有する WWW、FTP通信の影響を受けず、TELNETが使用できるようにする。

speed lan2 10m
queue lan2 type priority
queue class filter 1 4 ip * * tcp telnet *
queue class filter 2 4 ip * * tcp * telnet
queue class filter 3 3 ip * * tcp www *
queue class filter 4 3 ip * * tcp * www
queue class filter 5 1 ip * * tcp ftp *
queue class filter 6 1 ip * * tcp * ftp
queue lan2 class filter list 1 2 3 4 5 6

(参考)
http://www.yamaha.com/products/zh/network/ja/techdocs/qos_pq/

帯域制御

帯域制御方式は、ネットワーク上に流れているパケットについて送出元IPアドレス、宛先IPアドレス、アプリケーション毎のポート番号等によりサービスを区別し、サービス毎に使用できる上限帯域を割り当てる方法です。

各サービスは割り当てられた帯域までしか使用できないため複数のサービスを同時に使用しても他のサービスに影響をあたえません。

(例)

  • 各通信サービスが使用できる帯域を、
    • WWW通信 :3M
    • FTP通信 :2M
    • その他のTCP通信 :5M
    と割り当てる。
  • WWW、FTP通信が使用できる上限帯域を設定し、他のTCP通信と共存して使用できるようにする。

queue lan2 type shaping
queue lan2 class property 1 bandwidth=3m
queue lan2 class property 2 bandwidth=2m
queue lan2 class property 3 bandwidth=5m
queue class filter 1 1 ip * * tcp www *
queue class filter 2 1 ip * * tcp * www
queue class filter 3 2 ip * * tcp ftp *
queue class filter 4 2 ip * * tcp * ftp
queue class filter 5 3 ip * * tcp * *
queue class filter 6 3 ip * * tcp * *
queue lan2 class filter list 1 2 3 4 5 6

※帯域制御設定の場合、"speed lanX"コマンドの変わりに
"queue lanX class property X bandwidth=xx"で各キュー毎のシェーピング設定を行います。

(参考)
http://www.yamaha.com/products/zh/network/ja/techdocs/qos_bq/

Dynamic Traffic Control

「Dynamic Traffic Control」はRTX800とRTX1200でサポートされた機能で従来の帯域制御を拡張したものです。

ヤマハルーターでのLANインターフェイスにおける帯域制御は、従来機器では上限帯域を割り当てることしかできませんでした。これは例えばあるサービスを使用していないため帯域に空きができたとしても他のサービスがその空いた帯域を使用できないことを意味します。

「Dynamic Traffic Control」ではこの問題を解決し、帯域に空きがあれば他のサービスがその帯域を使用するように制御されます。「Dynamic Traffic Control」の設定では保証帯域と上限帯域の2つの値を使用し、

  • 保証帯域…輻輳が発生している状態で使用できる帯域
  • 上限帯域…回線に空きがある場合に使用できる最大の帯域

を意味します。

(例)

  • シェーピング速度:10M
  • 各通信サービスが使用できる帯域を、
    • WWW通信 :保証帯域3M、上限帯域10M
    • FTP通信 :保証帯域2M、上限帯域10M
    • その他のTCP通信 :保証帯域5M、上限帯域10M
    と割り当てる。
  • WWW、FTP、その他のTCP通信とも回線に空きがあればシェーピング速度10Mまで使用でき、輻輳状態では、WWW通信 3M、FTP通信 2M、その他のTCP通信 5Mの帯域を使用する。
  • 回線に空きがある場合回線を占有した効率的な通信を行い、輻輳状態では設定された保証帯域で分け合い共存した通信を行う。

speed lan2 10m
queue lan2 type shaping
queue lan2 class property 1 bandwidth=3m,10m
queue lan2 class property 2 bandwidth=2m,10m
queue lan2 class property 3 bandwidth=5m,10m
queue class filter 1 1 ip * * tcp www *
queue class filter 2 1 ip * * tcp * www
queue class filter 3 2 ip * * tcp ftp *
queue class filter 4 2 ip * * tcp * ftp
queue class filter 5 3 ip * * tcp * *
queue class filter 6 3 ip * * tcp * *
queue lan2 class filter list 1 2 3 4 5 6

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