2024年3月期第1四半期 決算説明会 質疑応答

Q1:第1四半期の事業利益下振れと、通期業績見通し修正の理由を教えてください。

各地で需要が軟調だったデジタルピアノ(DP)のエントリーモデルの販売回復を想定していましたが、まだ需要が戻っていません。また中国市場の回復も想定より遅れています。中国では店舗販売のピアノだけでなくECも低調で、DPの市況は中国も含めて世界的に想定以上に厳しかったというのが1点目です。2点目は、売上の減少以上に減産をしている影響があります。特に、中国製のピアノは第1四半期に大幅な減産をしていますが、アコースティック楽器は柔軟な生産体制の変更が容易ではなく、工場損益の悪化が想定以上でした。


Q2:もともと今期の楽器の生産高は前年比で2%減の計画でしたが、どういった製品でどの程度の追加減産を見込んでいるのでしょうか?

主に中国製のピアノや、中国・インドネシア製のDPで、上期を中心に2%程度の追加減産を織り込み、トータルで前年比約4%減を見込んでいます。


Q3:モデルミックス悪化の背景を教えてください。

利益率の高い中国でのピアノ販売や、全世界でDPの販売が落ちていることが背景です。


Q4:中高級価格帯の販売は順調なのでしょうか?

DPの中級価格帯の最下限モデルや、インドネシア製のエントリーモデルのピアノが影響を受けていますが、全般的に中高級品の需要は堅調が続いています。一部の製品で、まだ十分に供給が追いついていません。


Q5:エントリーモデルよりも中高級価格帯の方が利益貢献が大きいと思いますが、そこが堅調であれば損益影響は限定的なのでは?

楽器全体としてはその通りですが、DPは、他の楽器に比べ、エントリーモデルも利益率が高く、また中国製のピアノも、現地で効率的な開発・生産・販売をしており、利益率が高いので、損益への影響が少なくありません。


Q6:DPの市場環境、価格政策について解説してください。

エントリーモデルは、他社も含めて市中在庫が多く、競争が激化しています。そのような中、より競争力のあるエントリーモデルの新商品を投入して行きます。市中および当社の現行品在庫を消化するために一時的なディスカウントを行いますが、コストアップの転嫁も含めた価格の適正化は、今後も意識をして進めていきます。


Q7:市中在庫が正常化するタイミングをどうみていますか?

エントリーモデルのDPや、中国でのピアノの販売は、どちらも回復が遅れており、市中在庫が思うように減っていない状況で、現時点では正常化に年末までかかるとみています。


Q8:DP、管楽器、個人向けの音響機器について、今後の見方を教えてください。

DPは昨年、最初に軟調に転じた欧州から少し明るい兆しが見えてきています。新商品投入効果もあり、下期から徐々に回復してくるとみています。管楽器は、アメリカ政府による補助金の効果が継続していて、今後も堅調が続くとみています。個人向けの音響機器は、競争力のあるサウンドバーの新商品を投入しますので、様々な施策で需要を喚起し、供給不足で苦戦を強いられた前年の水準は上回るとみています。


Q9:スライドP4にある1Q前年比の減収・減産、モデルミックス、価格適正化のマイナス34億円について、各要素別に分解した影響額を確認させてください。

厳密なブレークダウンは非開示ですが、おおよそ減収要因でマイナス15億円程度、残りのマイナス20億円程度がモデルミックス、減産、価格適正化の要素とご理解ください。価格適正化は対前年プラスです。


Q10:同様に、スライドP7の通期の前年比プラス50億円についても確認させてください。

増収でプラス70億円ほど、残りのマイナス20億円程度にモデルミックス、減産のマイナスと、価格適正化がプラスで入っています。


Q11:前回との比較のマイナス99億円についてはいかがでしょうか?

減収でマイナス60億円ほど、残りのマイナス40億円ほどが減収以上の減産に伴う工場損益の悪化や、モデルミックス、価格適正化です。価格適正化は、一時的なディスカウントのため、前回見通しに対してはマイナスになります。


Q12:為替の影響もありそうですが、期末の棚卸資産が前回予想の1,280億円から、今回1,360億円に増加する背景を教えてください。

為替を除いて50億円ほど増える見込みです。内訳は仕掛・部品材料が30億円ほど、残り約20億円が製品で、ホームオーディオやネットワーク機器などの音響機器が増加し、楽器では大きな変化はありません。